今回、徳島大学へご寄付をいただいた経緯を教えてください。
すべての始まりは2019年、宇都教授と福岡でお会いしたことでした。私はこれまで43年間にわたり、薬を使わず心身のバランスを整える「ストレスケア」の研究と普及に人生を捧げてきました。少年院の現場などで長年、心に深い傷を負った若者たちの回復を支える中で、現場で培った「生きるための知恵」には確かな手応えを感じていました。
しかし、この知恵を社会の共通財産として次の世代へ繋ぐためには、個人の経験則を超えた、アカデミックな場での「科学的根拠(エビデンス)」が不可欠です。初めてお会いした際、宇都先生が進められている天然物などを用いた「非薬物による創薬科学研究」のお話を伺い、まさに私が目指してきた「心身相関の科学」を体現されている研究だと、深い感銘を受けました。一つの目的に対して多様なアプローチで挑み続ける先生の研究姿勢に強く共鳴し、その歩みを支援することが未来の健康社会を創ることになると確信して、今回のご寄付を決めさせていただきました。

(中央)美野田 啓二 様(一般社団法人日本ストレスケアカウンセラー協会 代表理事 ) (左)重松 良子 様(株式会社BTU 教務主幹) (右)美野田 晃大 様(株式会社BTU 代表取締役)
2025年には徳島大学の非常勤講師として講義をされたとお聞きしました。
はい、11月4日に大学院創成科学研究科・生物資源学専攻にて「ストレスケアの科学と実践」というテーマで集中講義をさせていただきました。
講義後の学生たちのレポートには、「努力の過程を認める『自己受容』の姿勢を大切にしたい」「ストレスを無理に排除するのではなく、上手にコントロールしたい」といった、深い気づきが綴られていました。若者たちが自分の内面に目を向け、心身のバランスを整える重要性を真摯に学ぼうとする姿を見て、私が40年以上伝えてきた「ストレスを味方にする生き方」が、次の世代に確実に響いていることを実感し、胸が熱くなりました。

2025年11月4日「ストレスケアの科学と実践」集中講義の様子
徳島大学へ期待されることをお聞かせください。
現場で43年培ってきた「生きるための知恵」には確かな手応えがありますが、これを社会の共通財産とするためには、大学の力による「科学的根拠」が欠かせません。
私が徳島大学に最も期待しているのは、現場の叡智を科学の光で証明し、未来の健康社会に還元していただくことです。宇都先生が進められている老化予防や免疫向上といった、人生の質(QOL)を根本から支える革新的な研究のさらなる発展を願っています。私たちのストレスケアカウンセリングは、単にストレスに負けないだけでなく、セルフケアの力を高め、イキイキとした日常生活を取り戻すことを目的としています。大学の高度な科学と私たちの現場経験が融合し、困難な時代を生きる人々が自らの力でしなやかに回復していける、新しい解決策が生まれることを切に願っています。
最後に、徳島大学へのメッセージをお願いします。
徳島大学の学生さんや研究者の皆さんは、非常に「優しく、真面目」という印象を持っています。研究の道は、ときに孤独で前例のない厳しい挑戦かもしれませんが、その地道な問いの積み重ねこそが、確実に未来の誰かの命を救う希望になります。
宇都先生には、いつかノーベル賞を手にするような高い志を持って、研究を突き詰めていただきたいです。私たちはこれからも、徳島大学が若い世代に「生きる力」を与える知の拠点として輝き続けることを、パートナーとして応援し続けます。

宇都先生より感謝を込めて
インタビューを終え、本学の宇都義浩教授(生物資源産業学部)に改めて美野田様とのご縁について伺うと、これまでの歩みへの敬意を込めて語ってくださいました。
「美野田様とは2019年に福岡でお会いして以来、足掛け7年にわたり研究交流を続けてまいりました 。43年という長い年月をかけて美野田様が現場で積み上げてこられた『ストレスケア』の知恵と、私たちが取り組む『非薬物による創薬研究』には、人々の健やかな暮らしを支えたいという共通の願いがあります 。
2025年11月の特別講義で、実践的なストレスケアについて真剣かつ楽しく学ぶ学生たちの姿を美野田様が温かく見守ってくださっていたことが非常に印象に残っています 。
いただいたご寄付は、現場の知恵や経験を科学的に検証し、多くの方々の健康長寿に役立てるための大切な力となります 。美野田様の想いに応えられるよう、一歩ずつ着実に研究を進めてまいります。」
宇都教授が進める科学的探究と、美野田様が築き上げてこられた現場の知恵 。二つの情熱が重なり合い、徳島大学はこれからも未来の健康社会を支える研究を続けてまいります。